消費者動向

 消 費者動向の分析方法としてマーケティング論が日本に紹介されて約50年が経過しました。そのころより消費者動向の分析手法は年代、性別、地域等の解析を 行ってきています。現代でも同様の分析手法が用いられ言葉こそ変えてきていますが、消費者をグループ分けして、それぞれの最大公約数をその代表と取らえて プレゼンテーションを行う方法は変わっていません。ところがこの数年、よく不透明の時代といわれますが、これは今までの分析手法では消費者の動向が掴めな くなってきているので不透明という言葉であらわしているのではないでしょうか? この新語を流行らせることで、マーケティング会社は自分たちの失敗を隠す免罪符にしているのではないでしょうか?先にもお話したように、30年前は、新製 品というと大手メーカーが毎年市場に提案するものしかなく、消費者はその中から選択するしかなかったのです。ところが、この30年間でスーパー、コンビニ の発達による流通革命により、その店に行けば全国どこでも同じものが入手できるという地域格差がなくなりました。一流品やブランド品といえば以前は東京の 銀座と決まっていましたが、今ではどんな地方都市へ言ってもブランドショップはあります。又、インターネットの発達は、情報のリアルタイムの一元化が図ら れ、たとえ離島であっても同時に入手が可能になりました。新製品に関しても、流通の要望もあり日々限りない新製品が街にあふれるようになりました。いまや 香料会社と同様「千三つ」とも言われる状況です。しかし香料のサンプルと違い最終製品は包装から中身、在庫、輸送と大変な経費がかかっています。当然売れ 残った製品は、値引き、在庫処分で安売り店に流れ、街に商品が溢れてしまいます。

 30 年前までは、消費者物価は現在に比べ相対的に高いものでした。サラリーマンの背広も数年に一度の買い替えが普通で、靴もかかとも張替えは当たり前でした。 しかし、現在の価格破壊は背広の価格は1万円を割り、靴においては張替えの費用で新しい靴が変えてしまう状況です。この様に商品が溢れてきて、目の前に置 かれて場合消費者はどのような行為に出るでしょうか、あわてて買う必要はなく、自分にとって必要なときに必要なものを買う、ほしいものがあっても衝動買い は控えて他店も見ながら価格の安いところで買うか、バーゲンを待つようになります。無論コマーシャルは重要な販売ツールではあります。認知していただくこ とがまず必要なことであることは間違えありません。ただ、認知イコール購買には結びつかないのが現在の状況です。

 で は、消費者は今何を基準に購買を決定しているのでしょうか?私は「自分にとっての価値観」ではないかと考えます。自分にとっての価値観とは、ニュートラル な世間一般の価値観とは異なり、その方、独自の価値観に基づく物です。私たちが物を購入しようとするとどのように考え、検討するのでしょうか?その判断基 準は大きく分けて次の3つになります。

 外観 (見た目、色形、デザイン、ブランド 等)

 中身 (品質、材料、サイズ、機能等)

 価格 (対価として適当か、安いか、高いか 等)

 こ の3つの要素がすべての購買に対し、自分にとっての価値観を左右するため3つの要素がそのつど異なっています。数年前に、現在の消費者行動を示すような例 として、一人暮らしのOLの生活が紹介されたことがありました。会社に出勤するときや私用での外出時にはブランド物の服や履物、バックで身を固めています が、自宅のマンションに帰ると、ユニクロの部屋着に100円ショップの食器や雑貨に囲まれて、インスタントラーメンをすするというようなことが紹介されて いました。この例を上の要素で検討してみますと、外出時は人に見られている、素敵な出会いがあるかも知れないと考えると外観がもっとも重要になります。少 々動きにくくてもデザインとブランドを重要視しますので多少の出費は覚悟して、カードのリボ払いでも購入するでしょう。しかし、人に見られる心配のない自 宅では、中身の機能と、価格が優先します。食器類も高級なものはいくらでもありますが、1万円の食器も100円の食器も機能は一緒です。使っている間には 壊れてしまいます。サラリーマンが所持するバックでも気にしなければどれもこれも一緒という人もいれば、TUMIにあこがれて持つ人もいれば、機能優先で 探し求めている人もいます。人によりその商品に対する思い入れや価値観の違いにより、選択するものは大きく異なります。ユニクロのヒーテックが売れたのは 3つの要素に対し消費者の価値観の差が少ないことに起因します。アンダーウエアーとして基本的には人に見せるものではないので機能(保温性が高い)と価格 (1000円前後)が皆様に納得いただいたのではないでしょうか?実際同じシャツでも今までの綿製に比べ保温性があります。同程度の保温性を求めると、ら くだ(古くて申し訳ない)や毛糸の下着の重ね着が必要になります。この様に消費者が求める価値観があまり大きくぶれないような製品は消費者のニーズを掴め ばヒットする可能性があります。ただ、外観が重要視されるようなものはそのニーズが多種多様になりますので、マーケティングが大変難しくなります。ブラン ド品でも海外でしか入手できない段階では、非常に価値観がありますが、日本にショップが出来て誰でも入手できるようになると、ブランドの価値観は薄れてし まいます。

 で は今後どのようにマーケットの分析を行うべきでしょうか?マーケットの分類方法を年代や性別ではなく、生活様式にて分類したほうがわかりやすいのではない でしょうか?子供の分類でも、自宅にいる子供と、保育園に通っている子供、私立の学校と、公立の学校、シルバー世代では、持ち家か、賃貸住宅か等に分ける とそれどれの生活様式が近い層が分類できます。その分類は小さいかも知れませんがニーズを分析すれば売れる商材の開発につながると思います。

 先般ある意味生まれて初めて爪切り を購入しました。以前は商店街や生命保険などで爪切りは景品や粗品として配られておりどこの家庭にもいくつかはありました。ですからあえて爪切りを購入し ようとの感覚は少ないことと、多少切れなくても、切り終えると次に使うまでに忘れてしまいます。日本橋の木屋が移転のセールを行っていたので覗いてみまし たら、ニッパー型の足のつめきりがありました。見ているうちに母親のつめを切っているときによく、切れが悪く、いたいとのことでしたので、切れ味が鋭けれ ば痛みは少ない かと思い、購入して使ってみましたところ、見事に切れ、痛みも少なかったもので、後日再度訪れ我が家の爪切りを一新いたしました。この様に、潜在的なニー ズはどこにもあると思います。それをどのように探し、認知していただき、商品を提供できるかではないかと思います。どんなに優れて商品でも、消費者に理解 されなければ売れませ ん。

  市場を上から見たり、マーケット会社のデーターを鵜呑みにしたりせず、自らが、そのマーケットに近づき、消費者目線で物を見ることが唯一マーケットのニー ズ を理解する方法と考えています。



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